冬のモッズコートやチェスターコート、春秋のトレンチコートなど、季節に合わせて活躍するコート。毎日着ていると、汗やタバコのニオイ、汚れが気になってきますよね。
「大切なコートはクリーニングに出したいけど、近所にだけ着ていく普段使いのコートはできれば自宅で洗濯したいな……」という方に朗報!実は、コートの素材によっては家で洗濯できるものもあるんです。
この記事では、洗えるコートの見極め方と洗濯機での正しい洗い方についてご紹介します。
自宅でのコート洗濯失敗あるある3選
失敗1:全体的に形崩れする
洗濯すると、コートのシルエットが崩れたり、修復できないほどよれてしまうことがあります。
自分の体にフィットしていたコートが、全然しっくりこなくなったなんてことも……。
失敗2:コートが縮んで修復不可能に
ウールコートは、水に濡れた状態で擦ったり洗濯機の力がかかったりすると縮んでしまいます。ゴワゴワして固くなり、風合いも悪くなります。
しかも、ウールが縮んだ場合は「フェルト化」という特殊な現象が起きているので、元に戻すのはほぼ不可能に。
失敗3:取れにくいシワができる
洗ったときや脱水したときのシワが取れなくなってしまうこともあります。
素材によっては、アイロンがけすると繊維が溶けてしまうようなデリケートなコートもあるので、そもそもシワを取る手段がない場合も……。
正しいコートの洗濯方法
洗濯して失敗することも多いため、基本的にコートはクリーニング推奨です。大切なコートや高価なコートは、必ずクリーニングに出すようにしましょう。
でも、すべてのコートを汚れるたびにクリーニングに出すのはちょっと……という場合もありますよね。例えば、子どものコートや2軍落ちのコートも毎回クリーニングに出すのは、お金がかかってしまいます。
実は、コートの素材によっては自宅で洗えるものもあるので、次に紹介する洗えるコートの見極め方と正しい洗い方を試してみてください。洗えるといっても、コートはデリケートなもの。洗う手順を守って、洗濯の失敗を最小限に抑えましょう。
準備、洗う、乾燥、収納のステップに分けて説明していきます。
STEP1:[準備編]
まずは洗濯する前に、コートが洗えるかどうかを確認しましょう。
洗濯表示をチェックする
コートはトレンチコートやダッフルコート、ダウンコートなど、さまざまな種類があります。種類が同じでも、洗えるコートと洗えないコートがあるので、洗濯できるかは「洗濯表示」を見て判断しましょう。
洗濯機で洗える場合
次のような洗濯表示があれば、洗濯機で洗えます。
洗濯機で洗えない場合
次の洗濯表示になっている場合は、洗濯機で洗うとダメージが大きく、形崩れや破損のリスクがあります。原則クリーニング推奨ですが、「手洗いができる」表示の場合は、優しくであれば手洗いすることも可能です。
コートの種類別お手入れ早見表
「手持ちのコートは洗えるか、目安だけでも知りたい!」という方のために、コートの種類ごとの傾向をまとめました。
ただし、最終的にコートが洗えるかは、必ず洗濯表示に従うようにしてくださいね。
トレンチコート | 綿やポリエステルなどの化学繊維でできていることが多く、洗濯OKなものが多いです。 |
ダウンコート | ナイロンやポリエステル、コットンなどの繊維でできているものは洗濯OKなものが多いです。ダウンの洗濯方法も参考にしてください。 |
モッズコート | 綿・ポリエステルでできていることが多く、洗濯OKなものも。ファー部分は取り外して洗濯しましょう。 |
レインコート | 脱水時は水が抜けにくいので、バスタオルで水分を取ります。最後に撥水スプレーをかけると◎。 |
ウールコート | ウールは水に濡れた状態で揉まれると縮むので、洗濯機はNG。基本はクリーニング、手洗いなら優しく洗います。 |
チェスターコート | ウール素材のものが多く、洗濯機はNG。基本はクリーニング、手洗いなら優しく洗います。 |
ダッフルコート | ウール素材のものが多く、洗濯機はNG。基本はクリーニング、手洗いなら優しく洗います。 |
レザーコート | デリケートなため、自宅での水洗いNG。皮革製品を取り扱っているクリーニング店に出しましょう。 |
ファーコート |
フェイクファーは化学繊維でできており、洗濯OKなものも。柔軟剤を使うとファー部分が整います。 リアルファーはデリケートなため、自宅での水洗いNG。毛皮製品を取り扱っているクリーニング店に出しましょう。 |
ムートンコート |
フェイクムートンは、洗濯機洗いはNG。基本はクリーニング、手洗いなら優しく洗います。 リアルムートンはデリケートなため、自宅での水洗いはNG。毛皮製品を取り扱っているクリーニング店に出しましょう。 |
色落ちをチェックする
洗濯表示をクリアしても、洗剤で色落ちしてしまうこともあります。洗う前に次の手順でチェックしておきましょう。
- 洗濯したいコートの目立たない部分に、洗うときに使うおしゃれ着用洗剤を少しだけたらします。
- 1分後、洗剤をたらした部分に白い布を軽く押し当てて、優しくもみます。
- 白い布に色が移っていなければ、洗ってもOKです。もし色が移ったら、自宅で洗濯するのはやめて、色落ちしにくいクリーニングに出しましょう。
STEP2:[洗う編]
次に、洗濯機で洗う工程に入ります。洗濯機に入れる前に、汚れや染みの前処理をしたり、洗濯ネットに入れるなどのひと手間を加えることで、仕上がりが変わってきますよ。
汚れや染みの前処理をする
目立った汚れや染みがある場合には、前処理をしておくと汚れが落ちやすくなります。
前処理の方法は簡単。おしゃれ着用洗剤の原液を、コートの汚れ部分に少量なじませておけばOKです。
洗濯機で洗う
ここでは、洗濯機での洗い方を紹介します。
洗濯機で洗う場合、「ドライコース」「手洗いコース」などの弱水流コースを選ぶのがポイントです。コートへのダメージを最小限に抑えて洗うことができます。
用意するもの
- コートが入る大きめの洗濯ネット
- 洗濯機
- おしゃれ着用洗剤
洗濯ネットへの入れ方
- 装飾品を取り外す:コートから取り外せる装飾品(トレンチコートのベルト、モッズコートのファーなど)はすべて取り外します。装飾品で洗えるものがあれば、別の洗濯ネットに入れてコートと一緒に洗いましょう。
- ファスナーやボタンを閉める:ボタンは基本的に閉めますが、もしコートの前身頃と後ろ身頃で生地の大きさが異なる場合は、開けたままにしておきましょう。ボタンを閉じて洗うと形崩れすることがあります。
- コートを折りたたんで洗濯ネットに入れる:コートの形を整えて、コートを二つ折り、三つ折りにし、洗濯ネットに入れます。洗濯ネットに余裕があると中でコートがずれてダメージの原因となるので、洗濯ネットのぴったりサイズに折りましょう。
手順
- 洗うときは、生地が傷まないように常温の水(40℃以下)を使いましょう。
- 洗濯機で「ドライコース」「手洗いコース」などの弱水流コースを選びます。可能であれば、脱水時間を1分程度と短めに設定します。
- 規定量のおしゃれ着用洗剤を、洗濯機の洗剤投入口に入れます。
- 洗濯ネットに入れたコートを洗濯機に入れて、スタートボタンを押します。
洗濯表示別の洗濯機の使い方
コートの洗濯表示に「ぬれつり干し・ぬれ平干しがよい」と記載がある場合は、洗濯機の設定に注意。
「脱水をせず、手で絞らないで干す」という指示のため、洗濯機の設定で脱水のステップを飛ばすようにしましょう。
ダウンコート、レインコートの脱水時のポイント
ダウンコートやレインコートの生地は、水を通しにくい素材です。そのため脱水するときに、洗濯機がエラーを起こして止まってしまうことがあります。
ダウンコートの場合、脱水前にコートの水分をなるべく抜いておくのがおすすめです。洗濯機からダウンコートを取り出して、手で押し絞ったり、タオルドライしたりしましょう。
レインコートの場合は生地が薄いので、タオルドライすれば脱水完了でOKです。
STEP3:[乾燥編]
洗い終わったコートは、シワや形崩れを防ぐためにすぐに洗濯機から取り出しましょう。
次にコートを干していきます。コートによって推奨の干し方は異なるため、洗濯表示を見て選ぶようにしましょう。
つり干しの干し方
次の洗濯表示の場合は、ハンガーにかけて干す「つり干し」をします。
ポイントはハンガーの形。形崩れしないように、針金ハンガーや厚みのないハンガーではなく、厚みのあるハンガーに吊るして干しましょう。
平干しの干し方
次の洗濯表示の場合、ハンガーを使って干すと肩にハンガーの跡がついたり、袖や裾が伸びてしまう恐れがあるため、必ず「平干し」を行います。
平干しするときには、「平干しネット」を使用するのがベスト。ネット通販や、100均などでも販売しているので、ひとつ持っておくと便利です。
どうしても平干しネットがないという場合には、床にバスタオルを敷いて干す方法がおすすめです。
- コートが収まる大きさになるよう、床にバスタオルを数枚敷く
- 1.の上に洗ったコートを広げて置く
- 窓などを開けて、風通しをよくして干す
STEP4:[アイロン・収納編]
コートが乾いたら、シワが気になる場合はアイロンをかけましょう。また、デリケートなコートは収納方法にも気をつけてくださいね。
アイロンをかける
トレンチコートなどの薄手のコートの場合、洗濯後のシワが目立つため、アイロンがけをしたいですよね。
アイロンをかける前の準備
コートの洗濯表示を見て、適切な設定温度を確認しましょう。
「アイロン仕上げ禁止」の場合はアイロンがけをしないでください。
また、「あて布が必要」などの注意書きがある場合は、あて布の上からアイロンをかけるようにしてくださいね。
使うアイロンの種類
アイロンには、主に3種類あります。
- ドライアイロン:アイロン台でプレスして使用する、スチーム機能がない
- スチームアイロン:アイロン台でプレスして使用する、スチーム機能がある
- 衣類スチーマー:ハンガーにかけたまま使用する
洗濯表示でアイロンOKのコートの場合、基本的に3種類すべてのアイロンが使えます。
また、コートの洗濯表示が「低温(底面温度110℃を限度としてスチームなしでアイロンがけができる)」であれば、衣類スチーマーは浮かせて使うようにしてください。もし注記で「スチーム禁止」と書いてある場合は、衣類スチーマーは使えません。
今回は、丈が長いコートにおすすめの、衣類スチーマーでのシワ取り手順をご紹介します。
衣類スチーマーのシワ取り手順
<用意するもの>
- 衣類スチーマー
- 滑りにくいハンガー
<手順>
- コートをハンガーにかけます。
- コートの端を軽く引っ張り、衣類スチーマーを生地に直接当てて滑らすように(洗濯表示で低温の場合は直接当てずに、1cm程度浮かせて)スチームを当てます。
- コートの後ろ側は、肩部分から裾にかけて順番に衣類スチーマーを当てます。下の部分は裾を引っ張ってピンと張りながら当てましょう。
- コートの前側は、ボタンがある場合一番上のボタンを閉めて、肩部分から裾にかけて順番に衣類スチーマーを当てます。
ボタンやファスナーは高温で破損してしまう恐れがあるので、避けてアイロンがけしましょう。
また、ベルトなどの付属品は別でアイロンがけしてくださいね。
アイロンNGの場合は、浴室に吊るしておく
入浴後に湿気がある浴室にコートを吊るしておくと、細かいシワを伸ばすことができます。
洗濯表示が「アイロン仕上げ禁止」の場合や、アイロンをかけるのが面倒という場合には試してみてください。
収納する
コートを形崩れを防ぐためにも、ハンガーにかけて収納します。
ハンガーは、厚みがあってコートの肩幅と合うサイズのものを選びましょう。
付属のファーのお手入れ方法
襟元や袖にファーがついているコートがありますよね。ファーも自宅で洗えるのでしょうか?
ファーには、本物の動物の毛で作られた「リアルファー」と、合成繊維などで作られた「フェイクファー」があります。それぞれのお手入れ方法をご紹介します。
リアルファーのお手入れ
リアルファーはとってもデリケート。専用のオイルなどを使えば自宅で洗えないこともないのですが、手間がかかるのと、失敗のリスクが大きいです。洗いたい場合はクリーニングに出しましょう。
リアルファーは通常のクリーニングに比べて手間がかかるため料金が高くなり、出して返ってくるまでの期間も長くなります。事前に料金や期間をチェックしてから出すことをおすすめします。
リアルファーは気軽に洗うことができないため、汚れを防ぐために普段からお手入れしておくのが大切です。次の4つのポイントを参考にしてくださいね。
着た後は叩いてほこりを落とす
リアルファーの部分を軽く叩いて、ほこりを落とします。着るたびにほこりを落とすことで、汚れの蓄積を防ぎます。
ブラッシングする
ほこりを落とした後は、リアルファーのふわふわした質感を保つために、洋服用ブラシでブラッシングしましょう。
濡れたら陰干しする
リアルファーが雨に濡れてしまったら、まず乾いたタオルなどで水分を拭き取ります。
その後、風通しのよい場所で陰干しして乾かしましょう。
汚れは絞ったタオルで拭く
リアルファーが汚れてしまったら、濡らしたタオルを固く絞って拭きましょう。
それでも汚れが目立つときは、無理せずクリーニングに出すのが安全です。
フェイクファーのお手入れ
フェイクファーは、ものによっては洗濯できるものもあります。
洗濯表示を確認して洗濯機洗いがOKのものは、紹介した洗濯方法のSTEP1:[準備編]〜STEP3:[乾燥編]と同じように洗ってみましょう。その際、次の2つのポイントをプラスすると、より仕上がりがよくなりますよ。
柔軟剤を使う
洗濯するときに柔軟剤を使うことで、フェイクファーがふわふわに仕上がります。
また、柔軟剤には静電気を軽減する効果もあるので、冬の乾燥する時期にバチッとしにくくなりますよ。
洗った後はブラッシングする
洗って乾燥させたら、最後に洋服用ブラシでブラッシングすると、フェイクファーの風合いがよくなります。
コートは種類や素材ごとに洗濯方法を気をつければ、失敗を減らせる
洗えるコートの見極め方と正しい洗い方、付属ファーのお手入れについてご紹介しました。
- コートの洗濯は、まずは「洗えるコートかどうか」を洗濯表示を見て見極めるのが大切
- 洗濯機では弱水流のコースを選んで、脱水も1分程度と短めに
- 干すときは、洗濯表示に合わせて「つり干し」か「平干し」
- アイロンはハンガーにかけてスチームアイロンがおすすめ
- 厚みのあるハンガーにかけて収納する
また、付属のファーは、リアルファーかフェイクファーかによってお手入れを変えるようにしましょう。
コートは自宅で洗濯するのが難しいアイテムです。「洗濯で失敗したくない」という方は、無理せずクリーニングに任せるのがおすすめですよ。