そろそろ新学期。新しい制服に袖を通し、これから始まる学校生活を心待ちにしているお子さんも多いはず。
ところで、制服は毎日着るだけに汚れや劣化などが気になるところ。できるだけ長く、きれいな状態で着続けてほしいですよね。そんな保護者の方々の思いに応えるべく、プロのクリーニング師・近藤高史さんに、制服のお手入れ方法を教えてもらいました。
目次
Q:制服が汚れたら、クリーニングに出すしかないの?
A:いいえ、じつは家庭でも洗濯できるんです!
市販のおしゃれ着用洗剤を使えば、お家でも洗うことができます。
制服の汚れは汗や雨、食べこぼしなどの水溶性の汚れが多いんのです。水溶性の汚れが蓄積すると制服がゴワゴワする原因になります。汗をかく季節なら、1〜2週に1回家庭で制服を洗うことで、いつも気持ち良く着られますよ。
家庭での制服の洗い方
- 洗濯機にお湯を溜める(水量は制服がしっかり浸るくらい。水温は体温と同じ40℃程度だと、皮脂汚れも落としやすくなります)
- おしゃれ着用洗剤を規定の量入れる(液体洗剤や粉洗剤は使わず、おしゃれ着用洗剤で洗います)
- 洗濯機の中で、手で押し洗いする(洗濯機を回してしまうと、傷みや縮みの原因になります)
- そのまま30分程放置する(染み込んでいる汗や、表面の汚れが浮き上がってきます)
- すすぎのために、1分ほど弱脱水する
- もう一回水を溜め、軽く押し洗いして1分ほど弱脱水する
襟汚れや袖汚れなどの強い皮脂汚れはお家での洗濯では落ちないことも。目立つ時にはクリーニング店に持って行ってドライクリーニングしてもらいましょう。
ドライクリーニングについて詳しく知りたい方は、ドライクリーニングと水洗いの違いと、洗い方を選ぶポイントをご覧ください。
Q:制服のテカリをおさえることはできるの?
A:目立たなくする方法があります!
繊維がつぶれたり、摩擦によってすり減ってしまうと、生地が光を反射してテカって見えてしまいます。授業で座る時間が長かったり、休み時間も制服のまま走り回ったり運動したりすることも多いので、これはなかなか防ぎづらいですよね。
毎日のお手入れに、家に帰ったらしっかりブラッシングするとテカリを防ぐことができます。
テカリが目立ってきた時は、アイロンのスチームを当ててブラッシングをしてみてください。
それでもテカリが目立ってしまう時は、制服の素材によってアンモニア水やメラミンスポンジを使うとテカリをおさえることができますよ。
ウールの制服のテカリをおさえる方法
ウールの入った制服なら、ウールの特性を生かしてテカリをおさえることができるんです。
1:希釈したアンモニア水(水100ml:アンモニア7〜8ml程度)をスプレーボトルなどに入れ、テカリ部分に塗布する。
アンモニア水はアルカリ性。アルカリ性の液体は繊維の奥まで浸透し、繊維を膨張させる「膨潤」という作用があります。制服のテカった部分にアンモニア水をかけると、潰れてしまった繊維を膨張させてくれるんです。
水分を含むと繊維のキューティクルが繊維内の水分を一定に保とうとして開きます。キューティクルが開いた状態だと、光がいろいろな方向へ反射するのでテカらなくなります。
2:当て布をして、押しつけないようにしながらアンモニアのニオイがなくなるまで中温でアイロンをあてる。
アイロンを生地に直接あてると繊維が潰れてテカリの原因になります。当て布をして、アンモニア水を熱で蒸発させるイメージで優しくアイロンをあててあげてください。
生地が濡れていても、アンモニアのニオイがしなければそれ以上はアイロンを当てなくても大丈夫です。
3:ブラッシングをしてから、ハンガーに吊して陰干しする
仕上げにブラッシングをして、ハンガーに吊るし、直射日光の当たらない日陰に干して乾かしましょう。
Q:アルカリ性の液体ならアンモニア水でなくてもいいのですか?
A:いいえ。生地に悪影響が起こりにくいので、アンモニア水を使ってください。
アンモニアには揮発性があり、アイロンの熱で水分が蒸発すると一緒に繊維から抜け出します。なのでアルカリが繊維に残ってしまった時に起こる脱色などの悪影響が起こりません。
化学繊維の制服のテカリをおさえる方法
ポリエステルなどの化学繊維が使われている制服も多いですよね。
化学繊維の場合は、メラミンスポンジでテカリを抑えられます。メラミンスポンジで、制服のテカリ部分を一定方向に軽い力でこすりましょう。
メラミンスポンジは硬度が高く、細かい網目によって、頑固な汚れを削るように落とします。つまり、とっても目の細かいヤスリのような効果があるんです。
メラミンスポンジで繊維のつぶれた部分をこすることで繊維を毛羽立たせて、ウールのキューティクルが開いたときと似た状態を作ります。まずは目立たないところで試してみて、仕上げにブラッシングしてあげましょう。
もちろん制服だけじゃなくてスーツにも使うことができるので、ぜひ試してみてくださいね。また、洗えるスーツの洗い方については、洗えるスーツの洗い方と注意すべきポイントをご覧ください。
Q:スカートのプリーツがなくなってきた…。復活させるには?
A:専用スプレーとスチームアイロンを併用しましょう。
毎日履くスカートは、だんだんプリーツが崩れてくるのが悩みですよね。プリーツをキープするために「布団の下にスカートを整えて置いて、その上から寝る」という人もいると聞きますが、これは全く効果ナシ。それどころか、寝汗による湿気でスカートの生地を傷めてしまうので、おすすめできません。
正しいケアは、市販のプリーツスプレーをラインにそって吹きかけ、その上から当て布をしてスチームアイロンをかけることです(アイロンの温度は150〜160℃が目安)。当て布をしないでアイロンをかけると、熱で生地の繊維がつぶれたり、テカってしまうので注意しましょう。
Q:衣類用の消臭スプレーなどは、毎日したほうがいいの?
A:頻度にもよりますが、おすすめしません。
制服を長く着るということを考えると、消臭スプレーなどはあまりおすすめできません。消臭スプレーは染みや輪染みの原因になるからです。また、汗など水溶性の汚れは、スプレーで一時的にニオイが消えたとしても、湿度や温度の変化によりニオイが蘇ってきます。
頻度にもよりますが、たとえば毎日のようにスプレーするとその分傷みも早まるので、外出時気になるときだけにとどめた方がいいと思います。飲食店のニオイは一日風通しの良いところで干すと若干改善されるので、試してみてください。
また、新学期の前やお休みの期間にクリーニングに出すことで3年間着る制服の劣化を抑えることもできます。
宅配クリーニング「リネット」なら、24時間ネットで受付ができ自宅から出ずにクリーニングが完結するので、時間・労力がかからない上に自分の生活リズムに合わせてクリーニングを活用できます。
まだ、自宅にいたままクリーニングを利用されたことのない方は、宅配クリーニング「リネット」体験談を参考にしてみてくださいね。
制服のお手入れ方法を守って、卒業まできれいに着られるようにしよう
制服のお手入れに関する疑問と、クリーニングのプロによる回答をご紹介しました。
- 自宅での洗い方:おしゃれ着洗剤を使って、優しく手洗いする
- テカリの解消方法:ウールの制服はアンモニア水とアイロン、化学繊維の制服はメラミンスポンジを使えば、テカリを目立たなくできる
- プリーツの崩れの対処法:専用スプレーとスチームアイロンを使って、プリーツを付け直す
- 消臭スプレーを使ってもよいか:染みの原因になるので、基本はおすすめしない
3年間毎日着る制服だからこそ、適切にお手入れして卒業まできれいを保ちたいですね。また、長期休みにはクリーニングに出して、汚れをリセットするのもおすすめですよ。