寒暖差がある9月・10月のキャンプ服はこまめに体温調節できる「重ね着」と、汗や雨で「濡れない服」を選ぶのがポイント。
秋キャンプの基本の服装やウェアの選び方、ロケーション別に気をつけたいことなどを、キャンプ歴25年以上のライター大武美緒子さんに聞きました。
目次
秋キャンプの服装はこまめに脱ぎ着できる「重ね着」コーデが基本!
秋のキャンプは、寒暖差とうまく付き合うことが大切。こまめに脱ぎ着できて体温を調節できる重ね着(レイヤリング)が基本になります。これは、老若男女のキャンプ服に共通のポイント。多くが家にある衣類で代用できるので、予算と相談しながら買い足すか決めるといいでしょう。
秋のキャンプにおすすめなコーデ【トップス編】
「インナー」+「はおりもの」+「アウター」が基本のコーデ。気温によってこまめに脱ぎ着できる重ね着がポイントです。急な雨にも対応できるよう「レインウェア」も準備しましょう。
インナー
肌に直接触れるインナーは、9月の暑い日なら汗をかいてもさらっとしている吸水速乾性のある半袖Tシャツが◎。10月の肌寒い日なら、吸水速乾性と保温性にすぐれた「メリノウール」素材などの長袖Tシャツがおすすめです。
はおりもの
脱ぎ着しやすい前開きシャツ、パーカーなどを準備して。寒い日は、薄手のダウンやフリース素材のウェアもいいでしょう。
アウター
日中は暑くても夜は冷え込む秋キャンプにアウターはマスト。とくに標高の高いキャンプ場では、ダウンなど冬仕様のものを用意しましょう。
レインウェア
キャンプでは、雨の中での撤収作業などの可能性もあるため、完全防水のレインウェアがあると安心。アウトドア用のレインウェアなら防寒、防風の役割もあるため、初秋、都市近郊のキャンプ場ならレインウェアをアウターとしても活用できます。
秋のキャンプにおすすめなコーデ【ボトムス編】
ロング丈のボトムスが基本です。10月下旬ごろまでは草むらにマダニもいるので、虫刺されやけが対策のためにも、肌を露出させないコーデに。
スカートやショートパンツをはく場合は、スパッツをプラスして。また、秋の夜は冷え込むので、足元からの底冷え対策が必須。パンツの下にスパッツなどを重ね着するといいでしょう。
秋のキャンプにおすすめなコーデ【足元・帽子編】
普段使いのアイテムで代用できるものが多いです。帽子は日中の紫外線対策用と、夜間の寒さ対策用の2個持ちも◎。
靴下
秋口のキャンプでは、日中は動くと靴下の中は汗で蒸れますが、夜間は底冷えするほど冷えます。普段使いの靴下でも代用できますが、買い足すなら、吸水速乾性と保温性にすぐれた「メリノウール」素材の靴下がアウトドア全般に使えておすすめ。
靴
基本は、普段使いのスニーカーでOK。標高の高い高原や山キャンプなら、防水性のあるトレッキング用シューズを用意するとハイキングなど日中のアクティビティのときも安心でしょう。
帽子
紫外線や虫刺されの予防として、帽子は必須。形はどんなものでもOK。寒さ対策用には、保温性のあるウール素材のニット帽がいいでしょう。
服装以外にも!秋のキャンプで持参すると便利な持ち物を紹介!
ウェア以外にも、持っていくと現地での快適さがアップする“便利アイテム”があります。持ち物の参考にしてみて。
サンダル
キャンプはテントに入ったり出たりと、靴を脱ぎ着する機会が多いです。その度にスニーカーを履くのは面倒なので、突っかけて履けるサンダルがあると楽!
ブランケット
秋キャンプの夜は冷えます。ストールとして首に巻いたり、焚き火を見ながら膝掛けにしたり、寝るときは寝袋に入れて暖をとったり、何にでも使えるブランケットはマスト。
手袋やネックウォーマー
標高が高い高原や山のキャンプ場には、寒さ対策として持っていって!
サコッシュ
水をくみに行ったり、受付に行ったりと、テントから離れることも多いキャンプ。サコッシュやウエストポーチのような、貴重品を身軽に運べるバッグがあると便利。
エコバッグ
温泉付きのキャンプ場も増えています。テントと温泉が離れているので、“おふろセット”を入れるバッグを用意しておくと◎。
キャンプ服におすすめの素材は?綿より「メリノウール」がいい理由
天然素材の「メリノウール」は、アウトドア用のアンダーウェアや靴下によく使われている素材です。繊維が極細で、汗をすばやく逃し、肌触りもとっても滑らかなのが特徴。湿気を調節してくれる「調湿性」や「抗菌・脱臭作用」があり、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるという万能素材です。
9月・10月は、日中は汗をかくほど暑くても、夜間は底冷えするほど寒暖差が激しい季節。汗をかいてもすぐに乾き、夜間の寒さ対策もできる「メリノウール」のウェアや靴下は、大活躍すること間違いなしです。
ちなみに、アンダーウェアというと「肌触りのいい綿100%がいいの?」と考える人も多いですが、綿100%の衣類は濡れたらすぐに乾きません。着替えをたくさん持っていったり、こまめに着替えられるという人はいいですが、アウトドアにはあまり向いていない素材です。
標高が高いキャンプ場は、冬並みの寒さ対策を!
持っている衣類で代用できるものも多いキャンプ服ですが、キャンプ場のロケーションによってはアウトドア専用のアイテムを買い足してほしいものがあります。
ロケーションでチェックしたいのは“標高の高さ”。標高900〜1000m以上のキャンプ場は、天気が急変しやすく、夜間は10月でも10℃台前半と冬のような寒さになるので注意が必要です。雨に濡れたままだと体温が奪われ、命にかかわるリスクにもつながります。標高が高い高原や山のキャンプ場に行く場合は、以下を必ず準備しましょう。
- 寒さ対策…手袋、ネックウォーマー、ニット帽、フリース素材のはおりものなど
- 濡れ対策…完全防水のアウトドア用レインウェア
レインウェアは「防水透湿性素材」「30デニール以上」を選ぶ!
標高が高いキャンプ場では必須の完全防水のレインウェア。アウトドア全般に使えるので、ロケーションにかかわらず1枚持っておくととっても便利。購入前はできれば試着し、サイズ感や動きやすさをチェックするのがベストです。以下のチェックポイントを参考に選びましょう。
素材:防水透湿性素材
アウトドア用レインウェアは、チャック部分や袖口からも雨が入らないような機能が施されているので”完全防水“を実現。さらに、ゴアテックス®︎に代表される「防水透湿性素材」は、汗や蒸れによる湿気を外に逃がしてくれる“透湿性”もあるため着心地も快適です。この透湿性がないと、汗や蒸れで中がびしょぬれになってしまうのでレインウェア選びには重要!
生地の厚み:30デニール以上
秋キャンプにおすすめなのは「30デニール以上」の厚さ。30デニール未満の軽量タイプのレインウェアはトレイルラン用のものもあり、寒さ対策としては心もとないためです。
子ども用のレインウェア選びは?
子どものレインウェアは、袖口やパンツの丈が調節できるデザインを選ぶと◎。すぐにサイズアウトせず、長い期間使えます。登園や雪遊びにも使えるので、アウトドア以外でも活躍します!
レインウェアを長く着るコツは洗って乾燥させること!
キャンプだけでなく普段使いもできるアウトドア用ウェアですが、長くきれいに着るコツはしっかり洗うこと。
「完全防水なので洗ってはいけないのでは?」と考える人も多いのですが、その逆! レインウェアに使われている「防水透湿性素材」は、細かい穴が空いている素材で、この穴に泥やほこりが詰まってしまうと、防水や湿気を逃す機能が発揮されなくなってしまいます。
キャンプから帰ってきたら、レインウェアは必ず洗いましょう! 自宅で洗うときはアウトドア専用の洗剤を使うと、機能を損なうことなく洗えておすすめです。さらに洗ったあとは、水を弾く撥水性を高めるためにしっかり乾燥させることも大切。乾燥機や、当て布を当てながらアイロンにかけるなど、しっかり熱を加えましょう。
「自宅で洗うのが面倒」「機能が損なわれそうで心配」という人は、自宅にいたままクリーニングのリネットがおすすめです。
→アウトドア用ウェアのクリーニングなら、自宅にいたままクリーニングの「リネット」
防水性や透湿性を損なうことなく、衣類に最適な方法でプロがきれいにクリーニングします。また、オプションサービス「サラっと撥水仕上げ」を追加いただくと、市販の防水スプレーとは違う、高い撥水加工を衣類にプラスできます。ぜひ利用してみてくださいね。
秋キャンプはおすすめ素材・アイテムを選んで、重ね着を!
リネットマガジン編集部「秋キャンプの基本の服装やウェアの選び方、ロケーション別に気をつけたいことなどを、大武さんにお伺いしました。
秋キャンプは、気温によってこまめに脱ぎ着できる重ね着を前提にコーデを組むのが基本。キャンプに適した素材の服やアイテムを身につけることで、快適に過ごせます。
また、レインウェアは着た後にしっかり洗うことで機能を保つことができますよ!」
●profile
大武美緒子さん
山と溪谷社で登山の専門誌・ガイドブックの編集に携わったのち、フリーランス編集者・ライターに。アウトドア関連の専門誌や書籍を多数手がける。「子どもと身近な自然をつなげる」をテーマにしたリトルプレス『Letters』編集・発行人。著書に『山の名前っておもしろい!不思議な山名 個性の山名』(実業之日本社)、共著に『はじめよう!山歩きレッスンブック』(JTBパブリッシング)がある。2児の母で、キャンプ歴は25年以上。
写真/sono、スタイリング/伊賀瀬