冬のカジュアルウェアとして大活躍のフリース。屋外でも室内でも使えて万能だからこそ、ちょっとした汚れや汗汚れが気になる……という方もいるのではないでしょうか。
でも、フリースを洗濯すると、ふわふわだった生地がゴワゴワになって、着心地が悪くなってしまうことも。
そこでこの記事では、フリースのふわふわ感を損ねないように洗う方法をプロが解説します。
この記事を監修した人
リネットお洗濯アドバイザー 近藤高史
クリーニング歴20年以上のクリーニング師。クリーニング会社の工場長を経て、2014年よりリネットの品質管理部門の現場責任者。メディア出演多数。趣味はランニング大会に出ること。
「クリーニングのプロの視点から、衣類をずっとキレイに保てるお洗濯やお手入れの方法をご紹介します!」
自宅のフリース洗濯失敗あるある3選
まずは、自宅でフリースを洗濯したときに起こりやすい失敗パターンをご紹介します。
フリースの繊維がゴワゴワになってしまう
フリースはふわふわした触感が魅力ですよね。でも、洗うのに失敗すると繊維がゴワゴワになって、せっかくの肌触りが台無しになってしまうことも。
毛玉ができる
フリースは毛玉ができやすい素材です。洗濯機などで洗って繊維どうしが擦れると、摩擦が原因で毛羽立ったり、大量の毛玉ができてしまうことがあります。できた毛玉を一つ一つ取るのは大変ですし、繊維が痩せてしまいます。
乾燥機の熱で縮む
フリースは熱に弱いので、乾燥機にかけて乾かそうとすると、熱で縮んでしまうことがあります。熱で縮むと、もう元には戻せません。
フリースの洗濯の手順
フリースの洗濯を失敗しないためには、ちょっとしたコツが必要です。
ここでは、事前に確認しておくべきことや、洗濯の工夫、干し方についてご紹介します。
STEP1:[準備編]
フリースを洗濯する前に、まずは洗濯表示や色落ちをチェックしましょう。
洗濯表示をチェックする
まずは、フリースが洗えるか判断するためには、タグの洗濯表示をチェックします。
洗濯機で洗える場合
次のようなマークが付いている場合は、洗濯機で洗うことができます。
手洗いで洗える場合
次のようなマークが付いている場合は、手洗いで洗うことができます。洗濯機で洗うのは推奨しません。
自宅で洗えない場合
次のようなマークが付いている場合は、自宅で水洗いができません。無理やり洗うと失敗しやすいので、必ずクリーニング店に相談するようにしましょう。
色落ちをチェックする
洗濯表示をクリアしても、洗剤で色落ちしてしまうこともあります。洗う前に次の手順でチェックしておきましょう。
- フリースの目立たない部分に、洗うときに使うおしゃれ着用洗剤を少しだけたらします。
- 1分後、洗剤をたらした部分に白い布を軽く押し当てて、優しくもみます。
- 白い布に色が移っていなければ、洗ってもOKです。もし色が移ったら、自宅で洗濯するのはやめて、色落ちしにくいクリーニングに出しましょう。
STEP2:[洗う編]
フリースが洗濯できると分かったら、次はいよいよ洗います。
フリースを洗濯すると、大量のマイクロプラスチックファイバーが流出し、海洋汚染に繋がります。
そのため環境省からは、フリースを洗う際は、マイクロプラスチックファイバーの流出を防ぐための専用の洗濯ネットに入れることが推奨されています。
専用の洗濯ネットは、フレディレックなどのメーカーから販売されているので、ぜひチェックしてくださいね。
汚れや染みの前処理をする
汚れや染みが気になる場合は、事前に簡単な処理をしておくことで落ちやすくなります。
洗濯洗剤の原液を、フリースの汚れ部分に少量なじませておけばOKです。
洗濯機で洗う
まずは、洗濯機OKのフリースの洗い方をご紹介します。
用意するもの
- 洗濯機
- 洗濯洗剤
- 柔軟剤
- 洗濯ネット
洗濯ネットは、洗濯表示で付記がなければ、衣類ケア上は特に必要はありません。
しかし、先述のマイクロプラスチックファイバーの対策のためにも、専用の洗濯ネットを使うのをおすすめします。
洗濯機で洗うときのポイント
フリースを洗うときのポイントは、起毛部分の摩擦を防いで、毛玉をできにくくすることです。次を守ると、キレイに洗うことができます。
- フリースを裏返す
- フリースを単独で洗う
また、洗濯表示によって、洗剤や洗濯機の洗い方を選びましょう。
洗濯表示のマークに下線がない、または下線が1本あるフリースは、通常の洗剤を使って、洗濯機の通常コースで洗うことができます。
下線マークが2本あるフリースはデリケートなので、おしゃれ着用洗剤を使って、「ドライコース」「手洗いコース」などの弱水流コースを選んで洗いましょう。
手洗いで洗う
洗濯表示で「手洗いOK」と書いてあるフリースの洗い方をご紹介します。
用意するもの
- 洗濯ネット
- 洗面台(フリースが浸かる大きさのもの。浴槽でもOK)
- 40℃以下の水(洗濯表示で指定がある場合は30℃以下の水)
- おしゃれ着用洗剤
- 柔軟剤
手順
- フリースを軽くたたみ、洗濯ネットに入れます。
- 洗面台に水と規定量のおしゃれ着用洗剤を入れて、手でかき混ぜ、洗剤水を作ります。
- 1.を2.の中に沈めて、20回ほど押し洗いします。
- 5分ほどつけ置きします。汚れが気になる場合は10分ほどつけ置きしましょう。
- 洗剤水を捨てて、洗濯ネットに入れたまま押して絞ります。
- 洗面台に水を張り、フリースを押し洗いするようにすすぎます。水を替えて、もう一度すすぎます。柔軟剤を使うときは、2回目のすすぎ時に入れるようにしましょう。
- フリースを洗濯ネットに入れたまま、洗濯機に入れて脱水します。洗濯機の一番弱い設定(「弱脱水」など)で30秒〜1分と、短い時間で脱水しましょう。
STEP3:[乾燥編]
洗い終わったら、フリースを乾燥させます。ふわふわ感をキープさせるためには、乾燥の方法に少し工夫が必要です。
フリースの干し方
フリースを脱水し終わったら、乾燥させる前に、フリースの端を持ってブンブンと数回振りさばきましょう。起毛部分に空気が通るので、よりふわふわに仕上げることができます。
また、フリースは厚みがあるので乾きにくいアイテムです。干すときは次のポイントを押さえると乾きやすくなりますよ。
- 干すときはファスナーやボタンをすべて開けて、風通しをよくする
- 厚みのあるハンガーに吊るす
- 裏地が乾きにくい場合は、表を乾かした後に裏返して干す
ちなみに、速く乾きそうだからといって、ストーブや石油ファンヒーターなどの近くで干すのはNGです。フリースの生地は熱に弱いため、乾燥機も使用せず、直射日光を避けた日陰で自然乾燥させてください。
乾燥後に毛並みが寝てしまったらブラッシングする
洗濯後、毛並みが寝てしまってふわふわ感がなくなることがあります。そんなときは、衣類用ブラシでブラッシングするとフリースのふわふわ感が戻ります。
毛足の長いフリース生地の場合は、特に、ムートンブラシを使うと効果的です。
フリースはクリーニングに出すのもおすすめ
大切なフリースは、クリーニングに出してお手入れするのもおすすめです。
クリーニング店でできる「ドライクリーニング」は、水を使わずに「有機溶剤」で衣類を洗います。すると、水で洗うと形崩れや縮み、色落ちが起こってしまう衣類を、繊維を傷めずに洗うことができるのです。
そのため、自宅で水洗いできないデリケートなフリースも、クリーニングでならキレイにできます。
リネットでもフリースのクリーニングを承っています。
オプションの「ふんわり上質仕上げ」をつけると、フリースの繊維がふんわりなめらかに仕上がり、着心地がアップします。静電気や花粉の付着を防ぐ効果もあるので、気になる方にもおすすめですよ。
フリースはポイントを押さえて洗濯すればふわふわ感を保てる
フリースの洗い方についてご紹介しました。
フリースはデリケートな素材のため、洗濯に失敗するとゴワゴワになる、毛玉ができる、縮むなどのトラブルが起こることも。キレイに洗うためには、まずは洗濯表示で洗えるフリースかどうかを確認しましょう。洗濯機で洗う場合は弱水流コースで洗います。手洗いで洗う場合もゴシゴシせずに押し洗いしましょう。乾燥させるときは、風通しをよくして陰干しします。
デリケートなフリースは、クリーニングに出してお手入れするのもおすすめです。宅配クリーニング「リネット」なら、家から出ずに玄関まで服を取りに来てくれるので、持ち運びの手間が省けますよ。ぜひ試してみてくださいね。