この記事では、衣類の虫食いの原因と対策や、防虫剤の使い方について、専門家にインタビューした内容をまとめています。
すぐに自宅で簡単にできる虫食い対策を紹介しているので、一度でも虫食いの経験がある人は、ぜひ読んで対策してくださいね。
目次
衣類の虫食い虫の見分け方「虫食いが起きやすい素材について」
まずは、株式会社ビアブルの田中さんに、虫食いの原因・見分け方や衣類害虫についての特徴や種類について聞きました。
衣類の虫食いの原因を教えてください!
田中さん「ウールやシルクなどの動物性繊維を餌とする衣類害虫と呼ばれる虫が、服についてしまうことが原因です。
ただし、木綿や化学繊維の衣類でも、汚れがついていると虫食いが起こります」
虫食い虫の種類や見分け方は?
- ヒメカツオブシムシ
- ヒメマルカツオブシムシ
- イガ
- コイガ
「衣類を食べるのは衣類害虫の幼虫になります。ヒメカツオブシムシの成虫であれば4〜5㎜なので肉眼で見えますが、卵や幼虫だともっと小さいので、確認することは難しいでしょう」
衣類害虫の主な餌は?(虫食いが起きやすい素材)
- 動物性繊維(ウール、シルク、カシミヤなど)
- 羽毛や毛皮・髪の毛、フケ、皮脂 ・虫の死がい
- ペットフード
- 鰹節、煮干しなどの乾物類
「食べ物の汚れや、髪の毛、フケなどが衣類害虫の餌になるので、室内はこまめに掃除して清潔に保つことが大切です」
衣類害虫が発生しやすい季節はいつ?
田中さん「春から活動を始め、人間が過ごしやすい気温20℃以上になると衣類害虫の活動も活発になり、晩秋の気温の低下とともに活動も低下します。
過ごしやすい高機密で高断熱の室内には、1年中生息すると考えていいでしょう。
衣類害虫は屋外で服やバッグにくっつき持ち込まれることもありますし、もともと室内にいる場合もあります」
【屋外編】2つの虫食い対策「服を叩いてから部屋に入る様にする」
株式会社ビアブルの田中さんに、衣類の虫食いの予防対策について教えてもらいました。
田中さん「衣類の虫食いを予防するには、衣類害虫を外から持ち込まないことと、室内で発生させないよう環境を整えることが対策になります」
衣類の虫食い対策1:洗濯物はよくはたいてから取り込む
田中さん「屋外に洗濯物を干す場合は、よくはたいてからしまいましょう。持ち込まないために、室内干しもおすすめです」
衣類の虫食い対策2:家に入る前にアウターやバッグなどははたく
田中さん「屋外で衣類やバッグなどについた衣類害虫を、気づかないうちに持ち込んでしまうことがあります。家に入る前に、アウターやバッグなどはよくはたきましょう」
【屋内編】4つの虫食い対策「服の虫食い虫は洗濯で死ぬ?予防方法は?」
衣類の虫食い対策1:衣類の汚れは洗濯やクリーニングでしっかり落とす
田中さん「衣類の食べこぼしなどの汚れは、衣類害虫の餌になります。また、髪の毛やフケ、皮脂汚れなども大好物。汚れは取り除くことが大切です。
長期保管の前は一度袖を通したら、汚れていないように見えても皮脂汚れなどがついているので洗ってから保管しましょう。自宅で洗えない衣類は、クリーニングに出すと虫食い対策になります」
衣類の汚れの落とすコツについては、リネットのお洗濯アンバサダー近藤さんに教えてもらいました。
リネット近藤さん「洗剤は、総合的に汚れ落ちに強い“粉末洗剤“がおすすめです。
弱アルカリ性で皮脂汚れやタンパク質汚れに強く、さらに酵素や漂白剤も配合されているものが多いので、しっかり汚れが落とせて除菌効果も期待できます。
また、すすぎ1回モードや時短モードだと汚れがしっかり落ちないので、すすぎは2回するようにしましょう」
衣類の虫食い対策2:洗えない衣類はアイロンをかける
田中さん「頻繁に洗えない衣類は、保管前にアイロンをかけるのもおすすめです。害虫は高熱に弱いので、アイロンの熱で死滅させることも方法の一つです」
田中さんによると、衣類害虫は、成虫は洗えば落とせることが多いですが、卵は洗っただけでは完全に取り除けないことが多く、洗濯だけでは死滅しないことも多いそう。
リネット近藤さん「クリーニングのリネットでは、洗濯したあと必ずアイロンしてからお届けしています。自宅で洗えない衣類はもちろん、お気に入りの衣類もクリーニングに出すのがおすすめですよ」
衣類の虫食い対策3:部屋やクローゼット、収納ケースを掃除する
田中さん「衣類をきれいにクリーニングしていても、保管場所が汚れていると衣類害虫のすみかになってしまいます。
部屋やクローゼット、収納ケースなどはこまめに掃除をして、清潔を保つようにしましょう。ペットの毛やペットフードなども餌になるので、ペットがいる家も気をつけて」
衣類の虫食い対策4:衣類はしっかり乾かしてから保管する
田中さん「カビや衣類害虫以外の昆虫対策も含め、しっかり乾燥させてから衣類をしまうことが大切です。
衣替えなどは、よく晴れた日にするといいでしょう。洗濯物がしっとりしている場合は、湿っている可能性があるのでよく乾かして」
ーークローゼットは定期的に換気した方がいいですか?
田中さん「下の表は、室内と押入れ内の温湿度を測ったグラフです。
押入れを閉めきった場合と、両側のふすまを10㎝開けた場合を比べると、閉めきった場合は、室内の湿度が変化しても押入れ内の湿度はあまり変わりません。
逆に、ふすまを開けていると室内の湿度に連動して、押入れ内の湿度も変化します。
つまり、室内が乾燥している晴れの日はクローゼットを換気し、逆に室内の湿度が高い雨の日は閉めたままにしておくといいことがわかります」
晴れの日に換気!と覚えておきましょう。
衣類の虫食いを防ぐ!防虫剤の種類は4種類。成分や効果、使い方は?
最後に、防虫剤の種類や使い方について、株式会社ビアブルの田中さんに聞きました。
防虫剤の種類や成分、効果は?
田中さん「防虫剤の種類は4種類になります。化学合成物質を使ったものと、天然由来のものがあり、化学合成物質を使った防虫剤の方が効果は高いです」
防虫剤のニオイなしタイプ
- エンペントリン (ピレスロイド系)…他の防虫剤と併用OK
「防虫剤で最もメジャーなタイプ。衣類にニオイがつかないので、出してすぐに着ることができます。化学合成物質ですが、安全性が高いです」
防虫剤のニオイありタイプ
- パラジクロルベンゼン…他の防虫剤と併用NG
「防虫剤の中では一番即効性があり、防虫効果が高いです。ただし、海外では発がん性が疑われることから使用が禁止されている地域も。ウールやシルク素材の衣類に適しています」 - ナフタリン…他の防虫剤と併用NG
「効き目が緩やかで持続性があります。冠婚葬祭用の服や和服、人形など出し入れの少ないものに適しています。塩化ビニール製品への使用はできません」 - しょうのう…他の防虫剤と併用NG
「樟(くすのき)の木を原料に作られた天然由来の防虫剤。香りと防虫効果の両面からウールや絹素材の衣類、和服に適しています。金糸・銀糸・金箔には直接触れないように使用しましょう」
防虫剤の効果的な使い方は?
- 防虫剤のパッケージ裏の使用方法通りに使う
- 密閉された場所で使う
田中さん「防虫剤は、パッケージ裏の使用方法通りに使うのが基本です。使用個数や期間の目安なども書いてあるので、自己流で減らしたり増やしたりするのはやめましょう。
また、防虫剤の多くは防虫成分が空気の中に放出されて効果を発揮するので、密閉性が高い場所で使うのが効果的です。開け閉めが多い場所だと、その都度空気が入れ替わってしまうので効果が弱まってしまいます。
密閉された収納ケースなどで使うのがおすすめです」
服の虫食いは、衣類害虫をブロックする環境づくり・お手入れで予防しよう
リネットマガジン編集部「衣類の虫食い対策や、防虫剤の種類と使い方についてご紹介しました。
衣類の虫食いを起こす衣類害虫は、動物性繊維や汚れを餌にします。虫食い対策のためには、屋外から衣類害虫を持ち込まないことや、衣類や保管場所に汚れを残さないこと、衣類害虫を死滅させること、衣類を乾かしてから保管することなどが重要です。
また、防虫剤を使うときには、パッケージ裏の使用方法通りに使うようにしましょう」