いよいよ冬本番。雪や水がしみてこないよう、コートやダウンなどのアウターやスキーウェアに、クリーニングで撥水加工をつける人も多いはず。でも、撥水加工って、どれくらいの効果があるのでしょうか……?
今回はダウンを使って、実際に撥水加工の効果を実験してみました。撥水加工の仕組みについてもご紹介します。
そもそも撥水加工ってなんでしょう?
クリーニングの撥水加工は、衣類の表面に水をはじく加工を施すことを言います。撥水加工を施すと、水や油分を弾きますが、空気や熱は通すため通気性が保たれます。
一方、防水加工というものもありますが、これは別物。防水加工の場合、衣類の繊維の隙間をふさぐため、水がしみ込むのを防ぐだけでなく、空気や熱も通しません。なので、撥水加工した衣類と違って、通気性が悪くなり、蒸れやすくなってしまうのです。
撥水加工の効果を調べてみました
ダウンコートにクリーニングの撥水加工を施して、その効果を検証してみました。
ダウンコートの左半分に撥水加工を施しました
左半分がクリーニングの撥水加工、右半分は何もしていません。
ダウンコート全体にシャワーをかけてみました
撥水加工の効果がでてきました
撥水加工を施した左半分があまり濡れていないように見えます。
もっとシャワーをかけてみました
ゲリラ豪雨を想定して、強めに大量のシャワーをかけてみることにしました。それでも違いが出るのでしょうか……?
びしょびしょに濡れてしまいました。でもよく見ると……
左半分は明らかに水を弾いています。撥水加工の効果がわかりますね。
ダウンコートを振って、水を振り払ってみました
ぶんぶんと振って、水を振り払っていきます。
撥水加工を施した左半分は水滴がほとんどなくなったように見えますが、右半分にはまだ水滴がついたままです。
撥水加工の効果をクリーニング師が解説!
撥水加工の効果は上記の実験でも実証されましたが、改めてクリーニング師の古塩さんにもその効果について解説していただきました。
リネットマガジン編集部:
なんでこんなに水を弾くことができるんですか?
古塩さん:
クリーニングで使用する撥水加工剤には、フッ素系樹脂かシリコン系樹脂が配合されています。
撥水加工した衣類を分子レベルで見ると、樹脂の膜の上に、フッ素やシリコンの粒が細かくぎっしり載っているイメージ。この粒たちが、水よりもとっても小さいため、大きな水の表面張力よりも小さい表面張力が働き、水を弾いてくれるんです。
もっとわかりやすく説明するために、水がしみ込みやすい綿素材のTシャツに撥水加工を施した例を見てみましょう。
左は何もしていない状態、右がクリーニングの撥水加工を施したものです。クリーニングの撥水剤はこんなに水を弾いてしまうんです。
汗も弾いてしまうのでシャツや肌着には撥水はおすすめしていません。
リネットマガジン編集部:
クリーニングの撥水加工には、水を弾く効果以外にもメリットがあるのでしょうか。
古塩さん:
撥水加工が優れているのは、水を弾くだけでなく、汗や泥汚れ、ホコリから、油汚れを弾く効果があるという点です。冬に使うコートやダウンジャケット、スノーウェアだけでなく、新品で買ったアウターやジャケット、ネクタイには、まず撥水加工をすることをおすすめします。撥水加工を施すことで、お気に入りの衣類をきれいなまま長く使うことができますよ。
撥水加工は、水や汚れをばっちり弾いて衣類を守ってくれる
ダウンを使った撥水加工の実験と、撥水加工の仕組みについてご紹介しました。
撥水加工をした部分としていない部分では、水の弾きやすさに大きく違いが出ることがわかりました。撥水加工では水だけではなく、汚れやホコリなども弾く効果もあります。お気に入りの衣類を買ったときや衣替えのクリーニングで、ぜひ試してみてくださいね。
また、「市販の撥水スプレーと比べて、クリーニングの撥水加工は何が違うの?」と疑問な方は、市販の撥水スプレー・クリーニングの撥水加工の効果の比較もご覧くださいね。
撥水加工の実証実験、いかがでしたか?クリーニングの撥水加工の効果に驚いた人も多いのではないでしょうか。お気に入りの洋服に加工を施すことに抵抗があるという方もいるかもしれませんが、実は撥水加工を施したほうが汚れや水分から洋服を守ることになり、結果的に長く愛用することができるんです。大切にしたい洋服にはぜひクリーニングの撥水加工をつけてみてくださいね。